ご回答
腸や脳に作用するため、下痢、便秘、嘔気・嘔吐等が副作用としては出やすい傾向になりますが、全員に出るわけではありません。また増量すると副作用が出現しやすくなります。当院では毎月の診察と採血で上記以外の副作用の出現も注意深くフォローいたします。
令和6年夏の時点では、大学病院を含め数施設しか処方を認められていませんでしたが、東京都で2施設目の日本糖尿病学会の認定教育施設Ⅲの当院は、クリニックとしてウゴービの処方を開始することが可能になりました。
*当院では医療安全上と倫理的観点から自費診療でのGLP-1投与は行っておりません。
GLP-1とは
GLP-1とは
GLP-1は小腸から産生されているホルモンで、日本では糖尿病薬として2010年より使用されています。
血糖値を下げるだけでなく、腸や脳への作用から食欲を抑えて体重を低下させる効果があり、血糖値が正常の状態では血糖値にはほぼ作用しない事から、改良を重ねた薬剤が世界中で肥満症治療薬として多く使われるようになっています。
その他、心臓、腎臓、肝臓等への有効性も報告されており、肥満症治療薬を超えて、全身の健康管理において期待度が高まっている薬剤です。
GLP-1の多くは週1回ご自身で主に腹部に注射をしていただくものになり、ウゴービもこれに当たります。
肥満症とは
肥満症とは
身長と体重からBMIという数値を計算し[体重kg÷(身長m)2]、25kg/㎡以上が肥満となり、かつ減量を要する健康障害を有する場合が肥満症とされます。
ここでの健康障害とは、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、糖尿病境界型、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝、腎障害、膝関節症等が該当します。
ウゴービの適用条件
ウゴービの適用条件
ウゴービを保険でご使用になるためには、体重によって二通りのパターンがあります。
- BMI 35 kg/㎡以上
- BMI 27 kg/㎡以上で高血圧、脂質異常症、糖尿病のいずれかで内服治療を要する(+もう一つの肥満に関連する健康障害)
まずはBMI早見表より、体重が基準を満たすかご確認ください。
【BMI早見表】
BMI 27 | BMI 35 | |
150cm | 60.8kg | 78.8kg |
155cm | 64.9kg | 84.1kg |
160cm | 69.2kg | 89.6kg |
165cm | 73.6kg | 95.3kg |
170cm | 78.1kg | 101.2kg |
175cm | 82.7kg | 107.2kg |
180cm | 87.5kg | 113.4kg |
*小数点第二位切り上げ
BMI 27kg/㎡以上の方で、高血圧、脂質異常症、糖尿病があるかお分かりにならない場合は、初診時に当院で確認いたします。
受診後の流れ 初診時
受診後の流れ 初診時
初診時にはウゴービの適応となる状態かどうかを評価いたします。
【初診時検査項目】
- 体重測定
- 採血
- 尿検査
- ご自宅や会社での血圧測定*必要時
【必要時の精密検査】
- 睡眠時無呼吸症候群精査*必要時
- 腹部画像検査*必要時
- ブドウ糖負荷試験*必要時
BMI 27kg/㎡以上~BMI 35kg/㎡未満の方は、高血圧、脂質異常症、糖尿病のいずれかがある事に加え、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、糖尿病境界型、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝、腎障害、膝関節症等のうち、もう一つの肥満に関連する健康障害を有する場合が適用となるため、初診時のみの検査では適応を確定することができない場合があります。
当院は生活習慣病専門クリニックであり、上記疾患の精密検査の殆どが行えます。
また近年は、食後の血糖スパイクや中性脂肪の上昇もリスクである事が判明しているため、採血は空腹でなく食後でも問題ございません。診断に空腹時採血が必要な場合は再診時に改めてご案内いたします。
過去の健康診断のデータをお持ちの場合は、初診時にお持ちいただくと、適応の大きな助けとなりますので、ご持参いただけますと幸いです。
半年の投与前準備期間
半年の投与前準備期間
ウゴービの適応の状態であった場合でも、実際に投与が開始できるのは、当院に通院していただいてから半年後から(初診月から7か月後が開始月。例:9月中に初診の場合、3月から投与可能)になりますので、ご注意ください。
【準備期間の定期項目】
- 定期検査*原則1カ月毎
- 栄養士との面談*2カ月毎、オンラインも対応
- 診断のための精密検査*必要時
ウゴービの適応となり、準備期間である6ヵ月の間に、先に検査や治療の開始が必要な疾患のコントロールを行っていきます(血圧、脂質、無呼吸症候群等)。
万が一、診察や栄養士との面談が月内に行えない場合は一旦中止の判断となり、改めて受診してから再度半年の準備期間を要します。
混雑状況により、受診日に栄養士との面談が行えない場合は、月内でのオンライン栄養指導に対応しております。
投与開始後
投与開始後
ウゴービは用量が5段階あり、初めから用量が多いものを使用することはできず、段階的な増量を行うことになります。そのため最大用量までを使用する場合は、投与開始後約5か月を要します。
増量することにより副作用が生じる事もありますので、原則は毎月の受診と検査による確認を行います。
また投与期間中も、2カ月毎の栄養士との面談が必須となります。受診や面談が決められた日程で行えない場合は投与が中止となりますので、ご注意ください。
【投与期間の定期項目】
- 定期検査*原則1カ月毎
- 栄養士との面談*2カ月毎、オンラインも対応
最長の投与期間は68週(約1年半)となります。再投与が必要と判断された場合も、基本的には再度の準備期間を経ていただくことになります。
- ウゴービの処方箋の受け取りは、予め連絡をしている薬局からのみとなります。
よくあるご質問
よくあるご質問
ご回答
2024年7月時点では、オゼンピックを使用していても、オゼンピックを中止し、ウゴービ0.25mgからの開始となります。今後ウゴービ0.5mg~1.7mgも使用できるようになった場合はアナウンスいたします。
ご回答
保険適用のため、いかなる理由でも受診ができなくなった場合は、準備期間のやり直し、または投与中止となります。保険制度で厳格に定められているため、定期受診は必ず予定通りでお願いいたします。不測の事態に備えるため、ウゴービを使用されている方は月初め~中旬までの受診をお勧めしております。
ご回答
栄養指導の日程には限りがあるため、原則予約変更はないようにお願いいたします。オンラインでは予約変更はできなくなっていますので、万が一の場合は当院にお電話をお願いいたします。栄養指導が月内に行えない場合は投与中止になってしまいますので、ご注意ください。
ご回答
ウゴービの薬代は3割負担の場合、1ヵ月の4回分は、1.0mgが約7000円、最大量の2.4mgが約13000円になります。
ご回答
当院では医療安全上と倫理的観点から自費診療でのGLP-1投与は行っておりません。栄養指導は保険適応外の場合は自費診療で対応可能です。